【第3回】スライダーを使って回路の動きを見よう!
CircuitSimulatorAppletでは、スイッチをクリック一つで動作させたり、抵抗の値をシミュレーション中に変更することが出来る機能が備わっています。
今回は、それらの機能を使ってみましょう。
試してみる
下のリンクから、CircuitSimulatorAppletを実行出来ます。料金や会員登録は必要ありません。
http://www.falstad.com/circuit/circuitjs.html
その前に(RESETボタン)
前回Run/Stopボタンの使い方を解説しましたが、その隣にResetボタンがあったのを覚えているでしょうか。
Resetボタンは文字通り、回路を一度リセット(初期状態に戻す)時に使います。以下実際の回路とともに、使い方を見ていきましょう。
回路を組んで実行
下の抵抗・電池・コンデンサ・スイッチが接続されている回路を作成してみましょう。
部品の配置方法など詳しいことは前回の記事をご覧ください。
コンデンサは、「Passive Components-Capatitor」を、スイッチは「Passive Components-Switch」を選択することで追加できます。
今回も前回と同様、作成までのアニメーションを作成しました。参考にしてください。
作成した回路には、スイッチが二つ付いています。
これらのスイッチを両方ともONにすると、「Voltage source/wire loop with no resistance!」というエラーメッセージが表示されて、シミュレーションが止まってしまいます。
エラーメッセージの内容通り、回路をショート(短絡)させてしまったときに表示されるエラーです。
シミュレーションを再開させるには、短絡状態でなくする、この回路だとどちらかのスイッチをOFFにする必要があります。
回路図が作成出来たら、シミュレーションを実行する前に右側にあるスイッチをOFF、左側にあるスイッチをONにしてください。
スイッチのON・OFFは、上のアニメーションにある通りクリックで切り替えることが出来ます。
また、コンデンサで右クリックし「View in Scope」をクリックし、グラフを表示させてください。(これでコンデンサに流れる電流と電圧が時間とともにどのように変化するか、分かります。)
RUN/STOPボタンを押して、シミュレーションをしばらく実行させると、次のようなグラフが描かれるはずです。
グラフの縦軸は電流や電圧の値、横軸はシミュレーション開始からの時間を、表しています。
今回のグラフでは、黄色い線がコンデンサに流れる電流、緑の線がコンデンサにかかっている電圧を表します。
コンデンサに流れる電流は時間とともに小さくなっていますが、電圧は逆に時間とともに大きくなっているのが分かります。
ある点の具体的な経過時間が見たい場合は、グラフにマウスを当てると表示されます。
コンデンサの放電
先ほど見た現象は、いわゆるコンデンサの充電と言われるものです。
次は、コンデンサの放電をシミュレートしてみましょう。
左側のスイッチをOFF、右側のスイッチをONの状態にしてください。
次のようなグラフが描かれるはずです。
RESETボタンを押す
以上の操作を行ったら、右側のスイッチをON、左側のスイッチをOFFにして、シミュレーションをしばらく実行し、もう一度コンデンサに電荷をためましょう。
この状態でRESETボタンを押すとどうなるのでしょうか。
押してみましょう。
一見何も変わりないようですが、右側のスイッチをOFF、左側のスイッチをONにしてコンデンサの放電を行ってみましょう。
コンデンサに電流が流れていません。
コンデンサに溜められていたはずの電荷が、RESETボタンを押したことによって、無くなったのです。
RESETボタンを押すと、回路の状態が初期状態にリセットされることが分かったでしょうか?
可変抵抗とLED
CircuitSimulatorAppletには、LEDという部品が存在し、LEDに電流を流せば、実際にLEDが光る様子を見ることが出来ます。
回路を作って、とりあえずLEDを光らせてみましょう。
実際の回路では、抵抗の値を適当に決めてはいけません。
LEDの順方向電圧などから計算によって求める必要があります。
分かっている方が大半だと思いますが、念のため注意を書いておきます。
今回作る回路は、下の図のような回路です。
LEDは、「Outputs and Labels-LED」にあります。
値を変更する
上のアニメーションでも行っていますが、部品の上で右クリックし「Edit」と書かれたメニューを選択すると、次のような画面が表示されます。
「Resistance(ohms)」に「100」と入力して、「OK」をクリックしてください。これで抵抗の値が変更されます。(単位を入力する必要はありません。)
今回は、100Ωという値を入力しましたが、2.2kΩや10MΩといったSI接頭語も入力することが出来ます。
下の表にCircuitSimulatorAppletで使用可能な、SI接頭語とそのリストを掲載しておきます。(これ以外にも、SI接頭語はありますが、CircuitSimulatorAppletで使えるのは、下の表に挙げたものだけです。)
接頭語 | ソフト上での記号 | 例 |
---|---|---|
G(ギガ) | G | 3G(V) |
M(メガ) | M | 3M(Ω) |
k(キロ) | k | 3.3k(Ω) |
m(ミリ) | m | 3m(A) |
μ(マイクロ) | u | 3u(F) |
n(ナノ) | n | 100n(F) |
p(ピコ) | p | 15p(A) |
先ほどの抵抗の例で、2.2kΩと入力したければ、「2.2k」と入力すればいいことになります。
RUN/Stopボタンを押して、シミュレーションを実行してください。上手くいっていれば、下のアニメーションのようにLEDが赤く光るはずです。
Editは、抵抗だけでなくCircuitSimulatorApplet上にある大半の部品で表示させることが出来ます。
「この部品の値をいじりたい」と思ったら、まずはEditをクリックしてみるといいでしょう。
スライダーとは?
今作成した回路にはLEDと直列に抵抗が接続されています。この抵抗の値をもっと楽に変える方法はないのでしょうか。
CircuitSimulatorAppletには、スライダーを使ってシミュレーション実行中に値を変えられる機能が備わっています。
スライダーを追加する
抵抗の上で、右クリックして表示されたメニューのうち「Sliders…」をクリックしています。
すると、部品のどの項目に対してスライダーを追加するかを選択する画面が表示されます。
Resistance(ohms)にチェックを入れると「スライダーの最小値(Min Value)」と「スライダーの最大値(Max Value)」と「スライダーの名前(Label)」を入力するところが表示されます。
MinValueとMaxValueはそのままで、Label(スライダーの名前)だけ「無抵抗」という名前に変えてみましょう。(スライダーの名前には日本語も入力することが出来ます。)
画面の右側に「無抵抗」という名前のスライダーが表示されました。
このスライダーを動かすと、抵抗の値が変わっているのが確認できます。
スライダーの機能が使えるのは、抵抗だけではありません。コンデンサ・コイル・LED・トランジスタ……といった部品でもスライダーの機能を使うことが出来ます。
スライダーはシミュレーション実行中にも使うことが出来ます。
回路の勉強をしているとき「ここの部品の値を変えたらどうなるのだろう」という疑問がよく浮かぶものです。そんな時スライダーを使えば、直感的に回路の動作を調べることが出来ます。
次回予告
今回までは、直流回路のシミュレーションしか行ってきませんでした。
しかし、CircuitSimulatorAppletでは交流回路のシミュレーションも行うことが出来ます。
次回は、コンデンサやコイルが接続された交流回路のシミュレーションを行います。
う-ん、よく分からん!
この記事を読んで、疑問に思うことがあったときは、気軽にコメント欄や私のTwitterから質問してください。
参考文献
CircuitSimulatorApplet 全電子部品対訳表
CircuitSimulatorApplet上に表示される電子部品の名前は、全て英語です。
英語で書かれた電子部品の名前を見て、すぐに実際の電子部品が思い浮かぶ人はいいかもしれませんが、そうでない人が大半でしょう。
下の記事では、CircuitSimulatorAppletにある全ての部品の日本語訳を載せてあります。
「日本語では○○っていう部品なんだけど、英語では何ていうんだろう?」「この部品、CircuitSimulatorAppletのどこにあるんだ?」という時にお使いください。
SI接頭語
【第2回】初めての電子回路シミュレーション
今回は部品の配置方法や、シミュレーションの実行方法などCircuitSimulatorAppletの基本的な使いかたについて触れていきます。
試してみる
下のリンクから、CircuitSimulatorAppletを実行出来ます。料金や会員登録は必要ありません。
http://www.falstad.com/circuit/circuitjs.html
- 試してみる
- 更新履歴
- 既に解説されている方がいた!
- まずは回路を作ってみる
- STEP1:既にある回路を削除する
- STEP2:回路を作る
- STEP3:シミュレーション実行
- STEP4:シミュレーション結果を見る
- STEP5:回路図を保存する
- STEP6:保存した回路図を読み込む
- 次回予告
- う-ん、よく分からん!
更新履歴
2020/05/09 コラム:GND(グラウンド)についてを追記。
2020/08/21 コラム:GND(グラウンド)についての内容を修正。
既に解説されている方がいた!
CircuitSimulatorAppletの使い方に関する資料は、英語で書かれたものも含めほとんどありませんが、唯一解説されている方がいらっしゃいました。
上の記事では、CircuitSimulatorAppletで部品を配置する方法やシミュレーションを実行する方法について書かれています。
この記事と一緒にご覧になると、より理解が深まると思います。
まずは回路を作ってみる
手始めに、下のような回路をCircuitSimulatorApplet上で作ってシミュレーションしてみましょう。
電池と抵抗だけのシンプルな回路です。
STEP1:既にある回路を削除する
CircuitSimulatorAppletを立ち上げると、既に「LRC Circuit」という回路があります。
これを全て削除しましょう。
上のメニューバーにある「Circuits」をクリックし「Blank Circuit」を選んでください。
STEP2:回路を作る
部品を追加するには、まず下のアニメーションのように右クリックして、追加したい部品を選択します。
その状態で、ドラッグすると部品が配置されます。
部品を移動する時は、部品をドラッグします。
今紹介した二つの操作方法を使って、回路を作成します。
抵抗を追加するには「Add Resistor」、電池を追加するには「Add Voltage Source(2-terminal)」、導線を追加するには「Add Wire」を選択する必要があります。
下のアニメーションを参考にして、上の回路図をCircuitSimulatorApplet上に作成してみてください。
部品が何もない場所で、右クリックを押し表示されたメニューでSelect/Drag Sel(space or Shift-drag)
をクリックし、移動させたい部品をドラッグすると部品を移動させることが出来ます。
部品の名前は全て英語です。「日本語の部品名は分かるけど、それがCircuitSimulatorApplet上でどこにあるか分からない!」という時は、下の記事を活用してください。
上のアニメーションにもある通り、部品を追加する際は、右クリックして出てくるメニューで追加したい部品を選んだあとに、部品を置きたい所でドラッグする必要があります。
追加したい部品を選ぶだけでは、部品は置かれません。 注意してください。
部品の移動方法はこれ以外にもありますが、ここでは詳しく解説しません。
詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
部品同士のつなげ方に注意!
下の回路図のように、部品同士を繋げたいとします。
CircuitSimulatorApplet上で上の回路図を作成しようとして、下のアニメーションのように導線と真ん中の抵抗を接続しても、真ん中の抵抗は導線に接続されません。
(赤くなっている点は、部品同士が接続されていないことを示します。)
実際にシミュレーションしてみると、本来真ん中の抵抗にも電流が流れるはずですが、接続したことになっていないため、電流が流れていません。(もし電流が流れていれば、右の抵抗のように黄色い四角が抵抗の中を移動するはずです。)
部品同士を接続するには、部品の両端についている白い丸同士を繋げる必要があります。
先ほどの例だと、次のようにすれば部品同士が接続されます。(赤くなっていた丸が、白い丸に変わっているのが分かります。)
STEP3:シミュレーション実行
回路が作成出来たら、シミュレーションを実行します。
シミュレーションを実行するには、画面右上にある「Run/Stop」というボタンを押します。
シミュレーションを停止させたい時はもう一度押します。
シミュレーションが停止している時は、ボタンの色が赤に変化します。
上手く行っていれば、下のようにシミュレーションが実行されます。
STEP4:シミュレーション結果を見る
電圧
CircuitSimulatorAppletでは、何も操作を行わなくても大まかなシミュレーション結果が分かるようになっています。
部品の色は、部品にかかっている電圧を表しています。
色が緑色に近ければ近いほど、電圧の値が正の方向に大きいこと(例:10V,100V)を表し、赤色に近ければ近いほど、電圧の値が負の方向に小さい(例:-100V,-20V)ことを表しています。
また、色が灰色に近ければ近いほど電圧が0Vに近いことを表しています。
上の例だと電池の+側が緑色になっており、抵抗で導線の色が灰色になっています。
「抵抗で電圧降下が起こっている」という現象も、シミュレーション結果を一目見るだけで、理解することができます。
電流
電流の流れは、回路図上にある黄色い四角の流れで見ることが出来ます。
黄色い四角が移動している向きが、電流の流れている向きになります。
電流が大きければ、黄色い四角の移動する速度が上がり、逆に小さければ移動する速度は下がります。
今回のシミュレーション結果だと「電池の+極側から、-極側に向かって電流が流れている」ことが分かります。
結果を詳しく見る
流れている電流の具体的な大きさや、電圧の具体的な大きさを知りたい時は、値を知りたい部品を右クリックして表示されるメニューのView in Scope
をクリックしてください。
すると、画面の下の方にグラフが表示され、グラフにマウスを当てると電圧と電流の値が表示されます。
今回の回路では、抵抗にかかる電圧は5V、抵抗に流れる電流はオームの法則より5mAとなるはずですが、シミュレーション結果もそのようになっています。
電流計・電圧計を接続する
CircuitSimulatorAppletには、電流計や電圧計といった部品もあります。
それらの部品を接続することで、電流や電圧の大きさを知ることができます。
電流計は「Outputs and Labels-Add Ammeter」を、電圧計は「Outputs and Labels-Add Voltmeter/Scode Probe」を選択することで、追加できます。
部品の削除は、削除したい部品で右クリックして出てきたメニューのDelete
を押すと削除できます。
電流計と電圧計を配置して、シミュレーションを実行すると下の図のように値が表示されます。
STEP5:回路図を保存する
CircuitSimulatorAppletには、回路をテキストデータで保存する機能が備わっています。
せっかくですから、今回の記事で作成した回路を保存してみましょう。
画面上部の、File
と書かれているところをクリックし、さらにSave As…
をクリックしてください。
すると、下のようなダイアログが表示されます。
赤枠で囲った青いリンクをクリックすると、回路をテキストデータに変換したファイルをダウンロードすることが出来ます。(OKボタンを押しても何も起きません。注意してください。)
回路のデータと言っても単なるテキストデータであるため、メモ帳でファイルの中身を見ることが出来ます。
STEP6:保存した回路図を読み込む
回路を保存する機能があるのですから、当然読み込む機能もあります。
画面上部の、File
と書かれているところをクリックし、さらにOpen File…
をクリックしてください。
ファイルを選択する画面が表示されます。読み込みたい回路データが書かれているテキストファイルを選択してください。
LTspiceのような電子回路シミュレータでは、必ず回路中にGND(グラウンド)を設置して0Vの基準を決めなければなりません。
ですが、CircuitSimulatorAppletではGNDを置かなくても動作します。今回作成した回路にもGNDは置かれていませんが、シミュレーションを実行することが出来ます。
ただ、電圧の基準が意図しない位置に設定されることがあるため、GNDを回路中に一つは置いておくことをおすすめします。
次回予告
CircuitSimulatorAppletでは、スイッチや抵抗の値をマウス一つでシミュレーションを実行中に変えることができます。
またLEDも実際に光らせることが出来ます。
次回は、スイッチやLEDを使った回路をCircuitSimulatorApplet上でシミュレーションしてみます。
う-ん、よく分からん!
この記事を読んで、疑問に思うことがあったときは、気軽にコメント欄や私のTwitterから質問してください。
【番外編】CircuitSimulatorApplet 全電子部品対訳表
CircuitSimulatorAppletは全て英語です。当然電子部品の名前も英語なのですが、パッと見ただけでは、何の部品か分からないものもあります。
そこでこの記事では、CircuitSimulatorAppletの部品名を日本語訳したものを載せています。
- この記事の使い方
- トップメニュー
- Passive Components
- Inputs and Sources
- Outputs and Labels
- Active Components
- Active Building Blocks
- Logic Gates, Input and Output
- Digital Chips
- Analog and Hybrid Chips
- Drag
- Select/Drag Sel
- その他
- う-ん、よく分からん!
この記事の使い方
英語->日本語
ブラウザの検索機能を使って、CircuitSimulatorAppletに書かれている英語の部品名を検索してください。
Google ChromeだとCtrl+F(コントロールキーとFキー同時押し)で、検索機能を呼び出すことが出来ます。
日本語->英語
日本語での部品名をブラウザの検索機能を使って、検索してください。
Google ChromeだとCtrl+F(コントロールキーとFキー同時押し)で、検索機能を呼び出すことが出来ます。
注意!
トップメニュー以外の部品名は、Add
を省略しています。
また日本語訳は、あくまで参考です。自然な日本語にするために、語句を補っているものもあります。
日本語訳の後ろに?がついているものは、正しいか確証のない訳です。
トップメニュー
部品名 | 日本語訳 | 備考 |
---|---|---|
Add Wire | 導線を追加する | |
Add Resistor | 抵抗を追加する | |
Passive Components | 受動素子 | |
Inputs and Sources | 入力と電圧・電流源 | 様々な種類の電圧源や電流源、グランドが このカテゴリーに入っている。 |
Outputs and Labels | 出力とラベル | LEDや電球などの素子が入っている |
Active Components | 能動素子 | |
Active Building Blocks | 能動ブロック素子? | オペアンプなどが、このカテゴリーに入っている。ピタリと当てはまる日本語訳が思いつかなかった。 |
Logic Gates, Input and Output | 論理回路と(論理回路の)入力と出力 | AND回路やOR回路などがこのカテゴリーに入っている |
Digital Chips | デジタルチップ | フリップ・フロップや全加算器など、若干複雑なデジタル回路がこのカテゴリーに入っている |
Analog and Hybrid Chips | アナログとハイブリットチップ | |
Drag | ドラッグ | 部品のドラッグ方法を詳しく指定できる。 詳しくはDragの項で。 |
Select/Drag Sel | (部品を)選択/(選択した部品を)ドラッグ |
Passive Components
部品名 | 日本語訳 | 備考 |
---|---|---|
Capacitor | コンデンサ(キャパシタ) | |
Capacitor(polarized) | コンデンサ(極あり) | 極性があるコンデンサ。 逆方向に設定した値以上の電圧をかけると 「capacitor exceeded max reverse voltage」 というメッセージが表示される。 |
Inductor | コイル(インダクタ) | |
Push Switch | プッシュスイッチ | クリックしている間だけ、ONになるスイッチ。 |
SPDT Switch | 単極双投スイッチ | |
Potentiometer | 可変抵抗 | スライダーを使ってシミュレーション中に抵抗値を変更出来る。 |
Transformer | 変圧器 | |
Tapped Transformer | タップ付き変圧器 | |
Transmission Line | 伝送線路 | 信号の遅れや、減衰をシミュレーションする時に用いる部品である。 |
Relay | リレー | |
Memristor | メモリスタ | |
Spark Gap | 避雷器 | |
Fuse | ヒューズ | |
Custom Transformer | カスタム変圧器 |
Inputs and Sources
部品名 | 日本語訳 | 備考 |
---|---|---|
Ground | グランド、GND | |
Voltage Source(2-terminal) | 電圧源(2端子) | |
A/C Voltage Source(2-terminal) | 交流電圧源(2端子) | |
Voltage Source(1-terminal) | 電圧源(1端子) | |
A/C Voltage Source(1-terminal) | 交流電圧源(1端子) | |
Square Wave Source(1-terminal) | 矩形波発生源(1端子) | |
Clock | クロック | |
A/C Sweep | A/C 掃引 | 周波数を時間とともに大きくしたり、小さくしたり出来る |
Variable Voltage | 可変電圧源 | スライダーを使ってシミュレーション中に電圧を変更出来る |
Antenna | アンテナ | |
FM Source | FM信号発生源 | |
AM Source | AM信号発生源 | |
Current Source | 電流源 | |
Noise Generator | ノイズ発生源 | |
Audio Input | オーディオ入力 | (自分で選択した)音声ファイルの信号を出力する |
Outputs and Labels
部品名 | 日本語訳 | 備考 |
---|---|---|
Analog Output | アナログ出力 | |
LED | LED(発光ダイオード) | |
Lamp | 電球 | |
Text | テキスト | 文字を書くことが出来る |
Box | ボックス | 点線の囲みを描くことが出来る |
Voltmeter/Scobe Probe | 電圧計 | 恐らくSco「p」e Probe。 |
Ohmmeter | 抵抗計 | |
Labeled Node | ラベル付きノード | |
Test Point | テストポイント | |
Ammeter | 電流計 | |
Data Export | データ出力 | DataExportにかかった電圧をファイルに記録する。 記録したファイルはダウンロードできる。 |
Audio Output | オーディオ出力 | AudioOutにかかった電圧を音声データとして出力する。 出力された音声データは実際に聞くことが出来る。 |
LED Array | LEDアレイ | LEDが格子状に並んだ部品。 応用すれば文字などを表示できる。 |
Stop Trigger | ストップトリガー | StopTriggerにかかる電圧が設定した値以上or以下になると シミュレーションを停止する部品。 |
Active Components
部品名 | 日本語訳 | 備考 |
---|---|---|
Diode | ダイオード | |
Zener Diode | ツェナーダイオード | |
Transistor(bipolar,NPN) | NPN型バイポーラトランジスタ | |
Transistor(bipolar,PNP) | PNP型バイポーラトランジスタ | |
MOSFET(N-Channel) | NチャネルMOSFET | |
MOSFET(P-Channel) | PチャネルMOSFET | |
JFET(N-Channel) | NチャネルJFET | |
JFET(P-Channel) | PチャネルJFET | |
SCR | SCR(サイリスタ) | |
DIAC | DIAC(トリガ・ダイオード) | |
TRIAC | TRIAC(双方向サイリスタ) | |
Varactor/Varicap | バリキャップ(可変容量ダイオード) | |
Tunnel Diode | トンネルダイオード | |
Triode | 三極管 | 真空管の一種 |
Active Building Blocks
部品名 | 日本語訳 | 備考 |
---|---|---|
Op Amp(ideal,- on top) | 理想オペアンプ(-端子が上側) | |
Op Amp(ideal,+ on top) | 理想オペアンプ(+端子が上側) | |
Op Amp(real) | 現実のオペアンプ | |
Analog Switch(SPST) | 単極単投スイッチ | 電気信号によって開閉するスイッチ |
Analog Switch(SPDT) | 単極双投スイッチ | 電気信号によって開閉するスイッチ |
Tristate Buffer | トライステートバッファ | |
Schmitt Trigger | シュミットトリガ | |
Schmitt Trigger(inverting) | シュミットトリガインバータ | |
CCII+ | 電流コンペア? | |
CCII- | 電流コンペア? | |
Comparator(Hi-Z/GND output) | コンパレータ | |
OTA(LM13700 style) | オペレーショナルトランスコンダクタンスアンプ | |
Voltage-Controlled Voltage Source | 電圧制御電圧源 | 入力端子にかかる電圧によって、出力電圧を制御できる部品。 ○○制御○○源と呼ばれる部品を使うことで、どんな電子部品でも作り出すことが出来る。使いこなせば便利かも。 |
Voltage-Controlled Current Source | 電圧制御電流源 | 入力端子にかかる電圧によって、出力電流を制御できる部品。 |
Current-Controlled Voltage Source | 電流制御電圧源 | 入力端子に流れる電流によって、出力電圧を制御できる部品。 |
Current-Controlled Current Source | 電流制御電流源 | 入力端子に流れる電流によって、出力電流を制御できる部品。 |
Optocoupler | フォトカプラ | |
Subcircuit Instance | サブサーキットインスタンス | Subcircuitと呼ばれる機能を使用する時に用いる部品。 |
Logic Gates, Input and Output
部品名 | 日本語訳 | 備考 |
---|---|---|
Logic Input | 論理入力 | デジタル回路の入力として使用すると便利。 |
Logic Output | 論理出力 | デジタル回路の出力として使用すると便利。 |
Inverter | インバーター(NOTゲート) | |
NAND Gate | NANDゲート | |
NOR Gate | NORゲート | |
AND Gate | ANDゲート | |
OR Gate | ORゲート | |
XOR Gate | XORゲート |
Digital Chips
部品名 | 日本語訳 | 備考 |
---|---|---|
D Flip-Flop | Dフリップ・フロップ | |
JK Flip-Flop | JKフリップ・フロップ | |
T Flip-Flop | Tフリップ・フロップ | |
7 Segment LED | 7セグメントLED | |
7 Segment Decoder | 7セグメントデコーダー | 2進数による入力(I0~I3)を7セグメントLEDで使われる信号入力(a~g)に変換してくれる部品。 例えば、0,0,0,1(I0,I1,I2,I3)という入力をこの部品に与えると、0,1,1,0,0,0,0(a,b,c,d,e,f,g)という出力になる。 ちなみに、7セグメントLEDで表示されるのは16進数である。実際1111(15)を入力するとFが表示される信号が出力される。 |
Multiplexer | マルチプレクサ | |
Demultiplexer | デマルチプレクサ | |
SIPO shift register | SIPO(直列入力並列出力形)シフトレジスタ | |
PISO shift register | PISO(並列入力直列出力形)シフトレジスタ | |
Counter | カウンタ | |
Ring Counter | リングカウンタ | |
Latch | ラッチ(回路) | |
Sequence generator | シーケンスジェネレータ | |
Full Adder | 全加算器 | |
Half Adder | 半加算器 | |
Custom Logic | カスタムロジック | 真理値表を入力することで 好きな論理回路を作成することが出来る。 カウンタ、フリップフロップもカスタムロジックで作成可能。 |
Analog and Hybrid Chips
部品名 | 日本語訳 | 備考 |
---|---|---|
555 Timer | 555タイマー | |
Phase Comparator | 位相比較器 | |
DAC | デジタル-アナログ変換回路(D/Aコンバーター) | |
ADC | アナログ-デジタル変換回路(A/Dコンバーター) | |
VCO | 電圧制御発振器 | |
Monostable | 単安定? |
Drag
本編第2回で、部品の移動方法について解説しましたが、それ以外にも特殊な部品の移動方法を指定することが出来ます。
特殊な移動方法を有効にするには、右クリックで出てくるメニューの項目をクリックする必要があります。
Drag All
部品全てをドラッグによって移動させます。
というのが、本来の機能ですが実質視点の移動です。
Drag Row
部品を上下に移動させます。
その際、ドラッグする部品と同じ高さにある部品も、一緒に上下に移動します。
Drag Column
部品を左右に移動させます。
その際、ドラッグする部品と同じ高さにある部品も、一緒に左右に移動します。
Drag Selected
部品をドラッグによって移動させます。
Drag Post
この項目は「部品の移動」というには、少し微妙かもしれません。
若干特殊な動きをします。
部品には二つの端子がありますが、この項目を選択すると、一方の端子の位置を固定して、もう一方の端子の位置を移動させることが出来ます。
……まぁ、下のアニメーションを見れば一目で分かるでしょう。
Select/Drag Sel
Drag Selectedと同じような働きをしますが、Drag Selectedと違って、複数部品を選択することが出来ます。
選択した部品は、ドラッグで移動させることが出来ます。いくつかの部品を一気に移動させたい時に便利です。
その他
マウスホイールを動かすことで、回路をズームすることが出来ます。
う-ん、よく分からん!
この記事を読んで、疑問に思うことがあったときは、気軽にコメント欄や私のTwitterから質問してください。
【第1回】電流が見える電子回路シミュレータとは?
電子回路シミュレータって何だ?
あなたは、電子回路シミュレータというものを知っているでしょうか。
普通電子回路を作ったときの動きは、実際に部品を買ってきて、回路を作らないと分かりません。
しかし、部品を買うのにもお金がかかりますし、回路を作るのにも時間がかかります。しかも、回路の組み方次第では部品を壊してしまうかもしれません。
……面倒くさいですよね。正直。「何とか部品を買わずに電子回路の動きを見る方法はないか」と思うと思います。
そんな時に使うのが「電子回路シミュレーター」です。その名の通り、自分で作った電子回路をパソコン上でシミュレーションすることができます。パソコン上でシミュレーションしているだけですから、部品を買う必要もありません。部品を壊してしまう恐れもありません。
LTspice
有名な電子回路シミュレーターとしてよく挙げられるのが、「LTspice」という電子回路シミュレータです。
このシミュレータ―は無料で、しかも機能の制限なく使用することが出来ます。
電子回路の解析に関する機能が豊富で、電流・電圧の測定はもちろん、周波数特性を求めたり、部品のパラメータを変えながら測定を行ったり、といった様々な解析を行うことが出来ます。
ですが、本格的な解析が行える反面、初心者にとってはとっつきにくいものになってしまっているのが現状です。
LTspiceでシミュレーションを行うには、次の手順を踏む必要があります。
- 回路図を作成する
- コマンドを入力する
- シミュレーションを行う
- 電流・電圧を測定したいところをクリックする
「回路図作って、実行ボタンを押すだけでシミュレーション実行されないの?」と思われるかもしれませんが、そうではありません。
LTspiceでシミュレーションを実行するには、回路を作成してから「どのような条件でシミュレーションするのか」を指定してあげる必要があります。
また、回路中の電流や電圧等を測るには、測定したいポイントをクリックする必要があります。
CircuitSimulatorApplet
ここで登場するのが、今回の連載で解説する「CircuitSimulatorApplet」という回路シミュレーターです。
Web上で実行することが出来ます。下のリンクから、「CircuitSimulatorApplet」が実行できるページへ移動することができます。
http://www.falstad.com/circuit/circuitjs.htmlwww.falstad.com
オフラインで実行できるCircuitSimulatorAppletもあります。
https://www.falstad.com/circuit/www.falstad.com
上の画像の赤枠で囲っているリンクをクリックすると、ソフトウェアがダウンロードされます。(Macをお使いの方は、緑色の枠で囲っている所をクリックしてください。)
電流と電圧が一目で分かる
CircuitSimulatorApplet上でシミュレーションを行うには、次の手順を踏む必要があります。
- 回路を作成する
- 右上の「RUN」ボタンを押す
LTspiceで必要だった「コマンドを入力する」という操作は必要ありません。回路を作って、RUNというボタンを押すだけでいいのです。
さらに、LTspiceではクリックしないと見ることが出来なかった電流や電圧も一目で見ることができます。
電流の流れが、黄色い四角で表現されています。
スイッチや部品の値を直感的に変えられる
電子回路では「電圧の値を上げたらどうなるのだろう?」「抵抗の値を変えたらどうなるのだろう?」という疑問が浮かぶ場面がよくあります。
CircuitSimulatorAppletでは、下のアニメーションのようにクリック一つで、回路が動いている最中にスイッチを切ったり、電圧の値を変えたりすることができます。
回路の動作が一目で分かる
CircuitSimulatorAppletは、上二つのような特徴を持っているため、電子回路の動作を理解する手助けをしてくれます。
例えば、下の図のような電子回路を考えてみましょう。
抵抗値の異なる抵抗が、二つ並列接続されています。
オームの法則より、抵抗の値が小さいければ小さいほど、抵抗に流れる電流は大きくなるはずです。
この回路をCircuitSimulatorApplet上でシミュレートしてみると、下のような結果になります。
抵抗値の小さい抵抗のほうが、黄色い四角の移動が速いのが分かると思います。
回路図を作って「RUN」ボタンを押すだけで、特に何もしなくてもオームの法則を一目で確認することが出来るのです。
最後に
今回は、CircuitSimulatorAppletとはどんなものなのか、について解説しました。
本文中では、CircuitSimulatorAppletの魅力を多く解説していますが、決してLTspiceがダメなソフトだというわけではありません。
むしろ、直感的に操作できるCircuitSimulatorAppletと、本格的な解析が出来るLTspiceを組み合わせて使えばより便利な回路シミュレーションを行えると思います。
次回予告
次回は、CircuitSimulatorAppletの基本的な使い方について解説します。
う-ん、よく分からん!
この記事を読んで、疑問に思うことがあったときは、気軽にコメント欄や私のTwitterから質問してください。
参考文献
LTspice関連
電子回路シミュレータLTspice入門編―素子数無制限!動作を忠実に再現! (ツール活用シリーズ)
- 作者:神崎 康宏
- 発売日: 2009/02/01
- メディア: 単行本
LTspiceの使い方について書かれている本です。これを読めば、とりあえずLTspiceは使えるようになります。
【第0回】この連載を読む前に
大まかな内容
この連載(回路シミュレータCircuitSimulatorAppletを使ってみよう!)では、「Circuit Simulator Applet」という電子回路シミュレータの使い方について解説していく予定です。
この連載の読み方
コラム
記事を読んでいくと、下のようなコラムが出てくることがあります。
これは、文字通りコラムです。
コラムですから、必ずしも読んで理解する必要はありません。
「あーわからん」と思うのであれば、どんどん読み飛ばしてください。
番外編
番外編も同じく「読むのが面倒くさい」「早く次に進みたい」と思うのであれば、読み飛ばしても構いません。
コラム・番外編ともに本文よりも難しい内容が入っている場合が多いです。
検索する、他の書籍・サイトをあたる
「この連載だけで勉強しなければならない」という決まりはありません。
いまいちピンとこない部分があれば、他の資料を使って勉強しても良いのです。
質問する
記事を読んでいくと、「どうしてこうなるんだ?」と言った疑問が出てくると思います。
そういう時は、ぜひ私に質問してください。
下のコメント欄からでも構いませんし、Twitterでも構いません。
質問内容を公開したくないのであれば、メールで送るという手もあります。
メールアドレスは、ページ右上に記載しています。
その他
連載は、全15回の予定となっています。 第1回の記事、連載記事一覧は下のリンクからご覧ください。
準備中です……
準備中です……
ソフト作り=プログラミングではない!
あなたは、ソフト作りに必要な要素は何だと思いますか?
「プログラミング」――と答えるでしょうか。
もしそうなら「プログラミング」をどんどん勉強して極めれば、多くの人に使われるすごいソフトが作れそうな気がします。
……が、現実はそうではありません。それ以外にもたくさんの要素があるのです。
はぁ!?プログラミング出来れば、すごいソフト作れるんじゃないの?!――と思った方こそ、この記事をご覧ください。
プログラミングってそもそも何だ?
話を進める前に一つ解決しておかなくてはいけない疑問があります。
「プログラミングが出来る」というのは、いったいどういう状態を指すのでしょう?
人によって意見が分かれるところだとは思いますが、ここでは次のように定義します。
具体的にコンピュータにやらせたいこと(仕様)が決まっていて、それをプログラミング言語にして、実際にコンピュータ上で動くプログラムを作れる状態。
例えば、次のような仕様があったとします。
- 「二つ数字を入力して、二つの数字を足した数字を表示しなさい」
上の定義で言う「プログラミングが出来る」というのは、上の仕様から
#include<iostream> int main(void){ int a,b; std::cin >> a >> b; std::cout << a + b; return 0; }
上のようなプログラムを作れる状態を指しています。
プログラミングで出来ること
先ほど挙げた例を見れば分かる通り、「プログラミングが出来る」状態で何かしらのプログラムを作るためには、具体的な指示が必要になります。
ソフトというのは、上で見た小さなプログラムが集まって作られます。
ですから、この状態でソフトを作るには、ソフトに関するありとあらゆることについて具体的な指示が必要になります。
ですが、普通「どんなソフトを作りたい?」と聞かれて思い浮かぶのは、
- この作業を自動化してくるソフトを作りたい
- 爽快感のあるゲームを作りたい
- 面白いゲームを作りたい
という曖昧な指示でしょう。
ソフトを作るためには、曖昧な指示を具体的な指示に変換しなくてはなりません。
箇条書きの1であれば、自動化したい具体的な作業が分かれば何とかなるかもしれません。
しかし、2や3はどうでしょうか。爽快感・面白いというのは人によって違います。
これを具体的な指示に変換するのは、非常に難しいことです。
ソフトはプログラムだけで作れるのか?
素材の問題
曖昧な指示を具体的な指示に変換できたとしても、さらなる問題が立ちはだかります。
それはイラストや音楽などの素材が必要だ、ということです。
ツール系であれば、そこまで必要にはならないかもしれませんが、ゲームであれば数多くの素材が必要になります。
自分で作るのであれば、イラストや音楽を作れるような勉強をしなくてはいけませんし、そうでなければ、人に頼むかどこかの無料素材集から持ってこなくてはなりません。
プロジェクトを管理する
趣味で作っているソフトであれば、いつソフトが完成しようと構わないかもしれませんが、人に頼まれて作っているソフトであれば、期限内に完成させなければなりません。
どのようにソフトを期限内に完成させなければいけないか、というのも考えなくてはいけません。
宣伝
自分だけが使うソフトであれば、宣伝なんてしなくてもいいでしょうが、多くの人に使ってもらいたいなら、宣伝の方法を考える必要があります。
結局……
これ以外にも、ソフト作りに必要な要素はたくさんあります。
……もうお分かりでしょうか。
プログラミングはソフト作りの一部分でしかないということです。
書籍にあるようなプログラミングの問題を解いていけば、確かにプログラミングの能力を高めるのには役立つでしょう。ですが、プログラミングの能力が高まったからといって、ソフト作りの能力が高まるわけではないのです。悲しいことに。
ではどうすればいい?
プログラミングを勉強してもだめなのなら、いったいどうすればいいのでしょう?
ソフトを作ればいいのです。
作りたいと思うソフトを作ればいいのです。
ソフト作りの能力を高めたいのなら、ソフトを作ればいいのです。
とは言っても最初は、作るのに何か月もかかるソフトではなく、数日や1~2週間くらいで作り終わるソフトから作っていくのがいいでしょう。
いや、でも……
ソフト作りにはたくさんの要素が必要なんでしょう?じゃあ、プログラミング以外に必要な要素教えて!全部勉強するから!――説明を聞いて、こう思う人もいるかもしれません。
気持ちは分かります。中途半端に勉強してソフトを作るより、全部きっちり勉強してからソフトを作った方が、良いものが出来上がる気がします。
ですが、そもそもソフト作りに必要な要素を全て挙げることは不可能ですし、仮に出来たとしても全てを極めることなど不可能です。一生かかっても終わりません。
全てをきっちり勉強してからやるより、最低限ソフトを作るのに必要なことだけ勉強してからソフトを作る方が、勉強したこともよく身につきます。
さらに、ソフトを作る前は「これだけ勉強したんだから大丈夫!」と思っていても、ソフトを作っていくと「あ、これ勉強しなきゃだめだな」とか「ここ、あんまり理解出来ていなかった。もう少し詳しく勉強しよう」と勉強したいところが沢山出てくるものです。
もし、勉強したいところが後から出てきても何の問題もありません。勉強したいところを勉強すればいいだけです。
最後に
ソフトを作る、Webサービスを作ると聞くと、どうしても「プログラミングが出来なきゃ作れない」と思いがちです。確かにソフトを作るのに、プログラミングは必要ですが、プログラミングはあくまでソフト・サービスを作るための一つの手段にすぎません。
それを、忘れないようにしておきましょう。
注意!!
この記事は「ソフト作りには、プログラミングは全く必要ない」と言っているわけではありません。タイトルにもある通り「プログラミングがソフト作りの全てではない」と言っているだけです。
決して「プログラミングを勉強しなくていい」ということではありません。
う-ん、よく分からん!
この記事を読んで、疑問や意見があったときは、気軽にコメント欄や私のTwitterから質問してください。
【gitをソフト開発で使いこなそう!:最終回】.gitignoreの書き方を徹底解説!
今回は、.gitignoreのファイルの書き方について解説していくと共に、README.mdやLICENSEといった特別な役割を持つファイルについても簡単に紹介していきます。
- 特別な役割を持つファイル
- README.md
- LICENSE
- .gitignoreとは?
- .gitignoreの書き方
- ワイルドカード
- 既にコミットしたファイルを無視したい
- 最後に
- より深く学びたい人のために
- う-ん、よく分からん!
- 参考文献
特別な役割を持つファイル
gitやGitHubでは、特別なファイル名を付けたファイルをリポジトリに置いておくと、特別な役割を果たすものがあります。
その代表例が、
- README.md
- LICENSE
- .gitignore
です。もちろんこれ以外にも特別なファイルは存在します。 以下に、いくつか挙げますので興味のある方は調べてみてください。
[GitHubにおける特別なファイル]
- PULL_REQUEST_TEMPLATE.md
- CONTRIBUTING.md
[gitにおける特別なファイル]
- .gitattributes
- .gitmodules
README.md
この名前を付けたファイルをリポジトリに置いておくと、下の画像のようにREADME.mdの内容が表示されます。
この機能を使うことで、初めてリポジトリを見に来た人に「このリポジトリってどんなリポジトリなんだろう?」ということを伝えることが出来ます。
上の画像は、私が前回紹介したプルリクエスト練習用のリポジトリです。
「このリポジトリはどんなリポジトリなのか」ということを解説しているのが分かるでしょうか。
.mdという見慣れない拡張子があります。これは、Markdownファイルの拡張子を表します。
「README」という名前さえついていれば、上の画像のようにファイルの内容が表示されますが、Markdownファイルとしては認識されません。
LICENSE
GitHub上で公開されているソースコード(ソフト)は、確かに無料で利用することが出来ますが、どんな利用をしてもいいというわけではありません。
ソフトの制作者が「こういう使い方だったらいいよ」と言わない限り利用することは出来ません。
LICENSE
という名前のファイルに先ほど言ったこと、いわゆる「リポジトリの利用規約」を書いておくと、下の画像のようにGitHubによってライセンスの種類が表示されます。
ライセンス
自分で一からライセンスを書いても、もちろん構いませんが、既に作成され公開されているライセンスを適用するのが普通です。
例えば次のようなライセンスがあります。
ライセンス関連の話は、本題から大きくそれるため詳しくは述べませんが、興味のある方は参考文献をご覧ください。
.gitignoreとは?
.gitignoreを使う場面
gitでファイルを管理していると「このファイルはgitで管理したくないな」と思う場面があります。
例えば、次のようなファイルです。
- ソースコードをビルド(コンパイル)して出来た実行可能ファイル(~.exeなど)
- ソースコードをビルドすれば、生成できるためわざわざgitで管理する必要がない
- ビルドする時に一時的に作成されるファイル
- これもビルドすれば生成される上に、わざわざ管理する必要がない
- 個人的なメモ書き
- 本当にただのメモ書きであれば、管理する必要もない
このような時.gitignore
という名前のファイルを置くと、ある特定のファイルを無視することが出来ます。
Windows 10 Version 1903(2019年5月21日公開)より前のWindows10では、エクスプローラー上で.gitignoreのような、ドットから始まるファイルを作成することが出来ませんでした。
.gitignoreと検索すると、「.gitignoreという名前のファイルが作れない!」といった名前の記事が出てくるのはそのためです。
Windows 10 Version 1903によって、ドットから始まるファイルをエクスプローラー上で作れるようになり、変な裏技を使う必要はなくなりました。
.gitignoreの優先順位
.gitignore
は、一つのリポジトリに複数置くことが出来ます。
ある一方の.gitignore
には「ファイルAを無視しろ!」と書かれているのに、もう一方の.gitignore
には「ファイルAは無視しない」と書かれていたらどうなるのでしょうか。
その場合、より深い階層に置かれている.gitignore
が優先されることになっています。
上の例であれば、「ファイルAは無視しない」という指定が優先されます。
.gitignoreの書き方
.gitignore
の実体は、単なるテキストファイルです。次のように書かれます。
# Exclude text files *.txt *.md # Exclude specific directories /[Mm]emo/ /[Mm]anualtest/test/ tada/ /tmp/* !/tmp/test.txt
以下具体的な書き方について、見ていきます。
基本的には、除外したいファイルやフォルダを書いていくだけです。
除外したいファイルやフォルダが、下のフォルダにあったら、.gitignore
を基準にして、相対パスで指定します。
相対パスって何だ?と思われた方は、下の記事をご覧ください。
https://wa3.i-3-i.info/word1167.htmlwa3.i-3-i.info
(ただし.gitignore
では、./フォルダ1/フォルダ2
のような相対パスの一番先頭にある.
は必要ありません。)
# .gitignoreと同じフォルダに入っているファイルを無視する /test.txt /test.md # subフォルダを除外 /sub/
空白行とコメント
.gitignore
において、空白行は何の働きもしません。無視されます。
そのため上の例のように、見やすくするために、空白行を挿入しても構いません。
また、#
を行の先頭につけると、コメントを付けることが出来ます。
#
を付けた行は、何の働きもしなくなります。(一般的なプログラミング言語で言う「コメント」と同じ役割です。)
ファイル名やフォルダ名だけを書く
test.txt
やbuild
フォルダといった、ファイル名やフォルダ名のみを一つの行に書くと、その.gitignore
のサブフォルダ以下にある全ての指定されたファイルやフォルダを無視します。(サブフォルダ以下です。.gitignore
が置かれている上のフォルダには、その.gitignore
の影響は及びません。)
……少しわかりにくいでしょうか?
一つ例を挙げましょう。
リポジトリの構成が下の図のようになっているとします。
ここで、.gitignore
に
test
と書かれていたとします。すると、上の図のA
とB
が除外されることになります。
(フォルダが除外された場合、フォルダの中身のファイルも除外されます。)
名前の最後にスラッシュ(/)をつける
名前の最後にスラッシュをつけると、設定が書かれた.gitignore
のサブフォルダ以下にある全ての指定されたフォルダのみを無視します。
.gitignore
に、
test
と書いたときは、A
とB
が無視されましたが
test/
と書いたときには、ファイルであるB
は無視されず、フォルダであるA
のみが無視されます。
名前の最後以外にスラッシュが入っている
.gitignore
を基準にして、相対パスで指定される、ファイルやフォルダを無視します。
と言ってもいまいちピンと来ないため、下のような例で考えてみます。
ここで.gitignore
に、
main/sub/test
と書くと、.gitignore
が置かれているフォルダを基準にした相対パスとして認識されます。
この例だと、main
フォルダにあるsub
フォルダのtest
ファイルとtest
フォルダを無視する、という設定になっています。
また、ここで
main/sub/test/
のように、名前の最後に/
をつけると、main
フォルダにあるsub
フォルダのtest
フォルダのみを無視するようになります。
!
行の先頭に!
をつけると、以降のファイル名やフォルダ名を無視しないという意味になります。
この設定で、前の設定を上書きすることが出来ます。
次のような.gitignore
を考えます。
/test/* !/test/reigai.txt
一行目で、test
フォルダにある全てのファイルやディレクトリを無視していますが、二行目でtest
フォルダにある、reigai.txt
を無視する設定から除外しています。
一見矛盾する設定のようですが、!
による指定は、前の設定を上書きするため「testフォルダにあるreigai.txt以外のファイルやフォルダは、無視する」という意味になります。
もしかすると、「こうでもいけるんじゃない?」と思った方がいらっしゃるかもしれません。
/test/ !/test/reigai.txt
しかし、これは思うように動きません。なぜなら、gitの仕様上フォルダそのものを無視した場合、後から一部のフォルダやファイルだけを無視しないようには出来ないからです。
最初に挙げた例が動作するのは、フォルダそのものではなくフォルダの中にあるファイルとディレクトリを無視するように設定しているからです。
……何だか、面倒くさい仕様ですが、そのような仕様になっている以上仕方ないのです。
ワイルドカード
*(アスタリスク)
「ある特定のファイルやフォルダ」ではなく、「~.txt
や~.exe
と言った特定の拡張子のファイルを全て除外したい」と言った場面があるかもしれません。
そのような場合、.gitignore
に次のように書きます。
*.txt *.exe
*(アスタリスク)は、/
(スラッシュ)以外の0文字以上を表します。
ですから、次のようなファイル名が指定されたのと同じ意味を持ちます。(下はあくまで例です。上の文を満たすファイルはいくらでもあります。)
- test.txt
- ttt.exe
- setup.exe
- .txt (ドットの前に一文字も無くても良い。なぜなら0文字以上だから。)
- /test/sub/file.txt (フォルダが指定されていても、構わない。)
?
/
(スラッシュ)以外の任意の1文字を指します。
[~]
[
と]
の中に入っている、/
(スラッシュ)以外の一文字が指定されます。
例えば、manual.txtとManual.txtを除外したいとき、
manual.txt Manual.txt
と書いてもいいですが、
[Mm]anual.txt
と書くことも出来ます。[Mm]
はMかmどちらかの文字が指定されたとき、という意味だからです。
既にコミットしたファイルを無視したい
既にコミットしてしまったファイルを、後から.gitignore
で無視するよう設定しても無視されません。
既にコミットしてしまったファイルを無視させるには、下のコマンドを入力する必要があります。
無視したいものが、ファイルだった場合。
git rm --cached <ファイル名(例:test.txt)>
無視したいものが、フォルダだった場合。
git rm -r --cached <フォルダ名(例:folder)>
delete……
と画面上に表示されますが、ファイル自体が消えたわけではないため、安心してください。
-r
オプションは、「<フォルダ名>のサブディレクトリ以下に入っているファイルも全て」という意味になります。
次コミットするときに反映されます。
ちなみに、--cached
オプションを忘れると一見ファイルが本当に削除されたように表示されますが、すぐに復旧できます。
下のコマンドを順に入力してください。
git reset HEAD git checkout HEAD <ファイル名orフォルダ名>
最後に
これで「gitをソフト開発で使いこなそう!」は、終了となります。
「gitをソフト開発で使いこなそう!」をお読みいただきありがとうございました。
より深く学びたい人のために
こっそり始めるGit/GitHub超入門
この連載では、gitをソフト開発で使いこなそうで扱えなかったGitHubの機能がいくつか解説されています。
う-ん、よく分からん!
この記事を読んで、疑問に思うことがあったときは、気軽にコメント欄や私のTwitterから質問してください。
参考文献
Pro Git
git,GitHubを使うにあたって必要なコマンドの使い方が詳しく解説されています。この連載を読んで分からないことや詳しく知りたいことがあったときはまずProgitを読んでみるといいでしょう。 git-scm.com
今日から始めるOSSライセンス講座
OSSライセンス、オープンソースソフトウェアライセンスについての概要が書かれている連載です。
文化庁著作権テキスト
https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/seidokaisetsu/pdf/r1392388_01.pdfwww.bunka.go.jp
OSSライセンスとは直接関係はありませんが、OSSライセンスの土台となっている「著作権」について詳しく学ぶことが出来ます。
文化庁が公式で出しているものです。