いい加減な説明も時には大事

SSDってなに?」「クラウドって最近よく聞くけど、何なの?あれ」――あなたなら、この疑問、どう答えますか?

「ねぇ、CPUってなに?」

あなたの家族でも、友達でも構いません。あまりITに詳しくない人がこう聞いてきたら、あなたは何と答えますか?

正確に説明する

試しに、ウィキペディアの情報を参考にして説明してみます。
ja.wikipedia.org

CPUっていうのは、中央処理装置の略で、プログラムを読み込んで、実行する部品のことだよ。

CPUの説明としてあってはいます。そして、正確です。ですが、

  1. 中央処理装置
  2. プログラム
  3. 実行

という言葉の意味が分からないと、理解するのは難しいでしょう。では、プログラムの実行の仕組みから、丁寧に説明してみればいいのではないでしょうか。 やってみましょう。

コンピューターっていうのは、人が「あれこれ」命令しないと、動かない機械なんだよ。
で、その命令を集めたデータを「プログラム」っていうの。そして、そのプログラム、命令をもとにディスプレイとか、スピーカーとかに具体的な指示を出したり、計算、例えば足し算とかをする部品のことを「CPU」っていうんだよ。

この説明であれば、ひとまず「プログラム」や「プログラムが実行される仕組み」を理解できるでしょう。

……が、本当にITのことを全く知らない人にこれを話して、一発で理解してもらうことができるでしょうか。一回説明して、図を書いて、説明して…… を何回も何回も繰り返して、やっと理解してもらえるかどうかというところでしょう。

よくわかりやすい説明をする方法として、「専門用語を使わない」という方法がありますが、そうすると、説明の分量が多くなってわかりにくくなってしまうのです。 かといって、専門用語の意味が分からずに、わかりにくい説明になってしまうのは、先の例でみたとおりです。

正確な説明は本当に必要?

CPUの説明の例でみてきたように、正確にわかりやすく説明しようと思えば説明の分量が多くなりますし、かといって簡潔に説明しようと思えば、 専門用語が多くなって、こちらもわかりにくい説明になってしまいます。

正確な説明――これをやめない限り、ITのことを全く知らない人にわかりやすく説明することはできないのです。

というより、本当に正確な説明は求められているのでしょうか。 ITのことを全く知らない人が、IT関連のことを質問する、理解しなければならない場面というのは、

  1. ニュースなどで聞いて単純に興味があった
  2. (例えば親に)パソコンのパーツを買うためのお金をもらいたいとき
  3. パソコンの設置や増設、設定の変更などで、上司や先生に許可をもらうとき

のように、一から十まですべて理解してもらう必要がない場合が大半です。

極端な話、相手に「なるほど、よくわかった」と言ってもらえば、それでいいのです。

そもそも、5分から10分、せいぜい数十分で、正確でわかりやすい説明をすることは不可能なのです。 説明を短くしようと思えば、どうしても正確性を犠牲にする必要があります。

わかった気にさせる説明

先ほども話した通り、相手に「なるほど、よく分かった」と言ってもらうことが重要です。 つまり、「正確でわかりやすい説明」ではなく「わかった気」にさせる説明をする必要があります。

試しに、CPUの例で、「わかった気」にさせるような説明をしてみましょう。

CPUっていうのは、人間でいう頭脳にあたるの。要するに、コンピューターの脳みそ。脳みそだから、この部品で、ゲームを動かしたり、Windowsを動かしたりしてるんだよ。
人間でも、脳みそで考えたり、計算したり、してるでしょ?

どうでしょう。わかりやすく丁寧に説明したものより、格段にわかりやすくなっているのではないでしょうか。「人間」や「脳みそ」といった、誰でもすぐに思い浮かぶ例を使ってCPUの動作を説明しています。 もちろん丁寧に説明したものと比べて、正確性には欠けますが、それでも「なるほど、分かった」と言ってもらう分には十分でしょう。

分かった気にさせる説明をするコツとして、次の二つが挙げられます。

  1. 誰でもすぐにイメージできるような例えを使う
  2. 話を極端に単純にする

CPUの例で見てみると「人間の頭脳、脳みそ」という誰でもイメージできるような例を使っています。また、実際のCPUの動作は複雑ですが、ここでは「人間と同じように、コンピューターも計算したり、考えたりできる」という風に説明しています。

分かった気にさせる説明をもっと見てみる

分かった気にさせる説明をもっと見たい方は、以下のサイトをご覧ください。
多くのIT用語の説明が載っています。説明の方法も参考になるはずです。

https://wa3.i-3-i.info/wa3.i-3-i.info

注意!!

分かった気にさせる説明は、その名の通り分かったにさせるだけです。
その内容を深く理解していないとまずい人(例えば、プログラマーパイロットなどの専門職や、その内容に関する内容を学んでいる学生)に対しては、分かった気にさせる説明をしてはいけません。

分量が多くなって、分かりにくくなってしまったとしても、丁寧で正確な説明をするべきです。